熱設計とは?基本的な知識と高まる重要性について解説

電子機器において、小型化やEMC(電磁両立性)への対応が問題となっているなか、熱対策についても焦点が当てられ、熱設計が大きな課題になっています。ここでは、熱設計に関する基本的な知識について解説するとともに、社会で高まっている重要性について解説をしていきます。

熱設計とは?

熱設計について学ぶ前に、Tjmaxについて知っておきましょう。Tjmaxは、半導体部品の中のチップ温度となる接合部温度の絶対最大定格として規定されているものをいいます。

このTjmaxでは、設計段階でさまざまな部品が基準値を超えないよう、周囲温度や発熱具合について検討しておく必要があります。

熱設計はこのTjmaxがカギとなり、Tjmaxを最大定格内におさめるようにすることを指します。Tjmaxが超えるようであれば、損失の低減や放熱の見直しを行う必要があります。

熱設計は、設計の段階で熱に関しての対処をしておく必要があり、仮にそれができていなければ、製品の施策段階や量産前に問題が露呈してしまうこともあります。発覚のタイミングが遅ければ遅くなるほど、時間やコストがかかってしまい、これに伴って製品のリリースが遅れてしまうと、その分機会損失にもつながってしまうのです。

また、製品が発売されてから市場で問題が起きてしまった場合は、リコールや企業の信用問題へと発展する可能性も否定できません。

熱設計は非常に重要であり、なるべく初期の段階から対処をしなければならない事項であるといえるでしょう。

高まる熱設計の重要性

近年では、熱設計の重要性が高まりをみせています。その背景として、電子機器の小型化や高性能化が進んでいることが挙げられます。これらを求めていくと、高集積化が進み、部品数増や基盤上に実装される密度も上がります。

熱設計は、近年の技術トレンドの変化にともなって、シビアになってきているのが実情です。世間では製品の小型化や高機能化、デザイン性が求められており、熱への対策は重要度を増しています。

熱設計をしっかりと行うことで、製品を使用する際の信頼性や安全性を担保するとともに、製品を作るうえでかかるコストがトータルで見ると削減できるという点で、重要性が高まっているのです。

まとめ

ここまで、熱設計の基本的な知識から熱設計の重要性に焦点を当て、解説してきました。熱設計は、製品開発の初期の段階から厳しくチェックするべきであり、製品が市場に出回ってから発覚していては、大きな問題につながってしまうことが懸念されます。今一度熱設計について正しい知識を習得し、消費者にとって安全で信頼できる製品づくりをしていく必要があるでしょう。