熱設計における近年の技術トレンドとは?

多くの技術者にとって、技術トレンドは押さえておくべき事項です。ここでは、熱設計における近年の技術トレンドに焦点を当て解説を行います。熱設計に携わるエンジニアの人にとって役立つ情報となりますので、ぜひチェックしてみましょう。

近年の熱設計における技術トレンド

近年、熱設計における技術トレンドには、「小型化」「高性能化」「デザイン性」といった3つのキーワードが存在します。これらが熱に対してどのような影響を与えるのか、それぞれ解説していきます。

小型化

あらゆる製品に小型化が求められている背景から、実装基盤やIC、コンデンサなどといった部品も小型化が進みつつあります。半導体部品においても、従来ICチップが格納されているパッケージが大きかったのが、大幅に小さいパッケージへ封入するケースがみられます。

またICチップを2つに増やしてデュアル化する高集積化といった動きも見られます。

こうした小型化や高集積化を行うと、発熱が起きてしまいます。

型化・高集積化した部品を詰め込む、高密度実装を行うと、発熱している部品だけでなく基盤全体の温度が高くなります。

高性能化

機器の高性能化をはかるためには、能力の高いICを使うことやデバイスの増加、データを高速処理する技術などが必要になってきます。高性能化を行うと、消費電力は大きくなり、発熱が増加する傾向にあります。

また、高周波を扱うケースでは、ノイズ放射の防止のためのシールドが必要になるケースが多々あります。熱がこもりやすいシールドによって、温度条件が悪くなってしまうことが懸念されます。

高性能化の代償として、高密度状態となってしまい、製品内の温度については上昇してしまいます。

デザイン性

日々新しく生まれる製品は、他社商品との差別化を図るためにデザインにこだわって作られるケースが増えています。デザイン性に富んだ商品はよいことなのですが、排熱処理がしにくいことや高密度実装などで、製品自体が熱を持ち高温になることが課題視されたケースがあります。

こうした背景があるなかでも、製品の小型化・デザイン性を優先するあまり、発熱の問題がおざなりになってしまうことも多々あります。

まとめ

ここまで、熱設計における近年の技術トレンドについて解説をしてきました。技術トレンドの3つのキーワードである、小型化・高機能化・デザイン性は、ものづくりにおいては重要ではありますが、熱設計においてはさまざまな弊害が生まれているといっても過言ではありません。技術トレンドをおいかけることは重要であるものの、発熱などの問題については真摯に向き合い対処する必要があるといえるでしょう。